月次決算の目的は「経営判断」にある
月次決算という言葉から、決算書と同じように正確な数字を作らなければならないと考えるかもしれません。
しかし、月次決算と年次決算では目的が異なります。
年次決算は、会社の一定期間の業績や財政状態を確定し、税務申告などにもつながる重要な手続きです。
一方、月次決算の大きな目的は、現在の会社の状態をできるだけ早く把握し、これからの経営判断に使うことです。
例えば、
- 今月の売上はいくらだったか
- 粗利益はどのくらい出ているか
- 人件費やその他の経費は増えていないか
- 利益は計画どおり出ているか
- 現預金はどの程度あるか
といった情報を把握し、今後の事業活動を考える材料にします。
そのため、数字を作ること自体が目的になってはいけません。
「完璧になるまで待つ」より、早く把握する
月次決算で重要なのが、スピードです。
例えば6月の業績が分かるのが7月末では、すでに1カ月近く経過しています。
経営判断に使うのであれば、月が終わってから数日程度で、その月の業績の概算を把握できる状態が理想です。
ところが、数字を完全に正確にしようとすると、
「この請求書がまだ届いていない」
「この経費の金額が確定していない」
「この売上の処理を確認したい」
といった理由で、月次決算がなかなか完成しないことがあります。
細かな数字が確定するまで待った結果、経営者が数字を見るのが翌月末になってしまっては、月次決算の価値が薄れてしまいます。
創業期では特に、100%の正確性を求めて遅くなるより、経営判断に必要な精度の数字を早く把握するという考え方が重要です。
重要な数字は正確に、細かな数字は概算でもよい
もちろん、「月次決算だから数字が多少間違っていてもよい」という意味ではありません。
重要なのは、すべての数字に同じ精度を求めないことです。
例えば、売上や人件費など会社の利益に大きな影響を与える項目が大きく抜けていれば、経営判断を誤る可能性があります。
一方で、少額の経費について請求書がまだ届いていないために月次決算全体を止める必要があるかは、別に考えるべきです。
金額が合理的に見積もれるのであれば概算額を計上し、翌月以降に確定額との差額を調整する方法も考えられます。
経営判断に大きな影響を与える数字はしっかり押さえ、それ以外については重要性に応じて処理する。
このようにメリハリをつけることで、精度とスピードを両立しやすくなります。
毎月同じ基準で作ることも重要
月次決算では、数字そのものの精度だけでなく、毎月同じ考え方で数字を作ることも重要です。
例えば、ある月は未払いの経費を計上しているのに、別の月では請求書が届くまで計上しないという処理をしていると、月ごとの利益を単純に比較できなくなります。
月次決算は、
今月は前月と比べてどうだったか
計画に対してどの程度進んでいるか
といった比較をすることで、より価値のある情報になります。
そのためには、毎月同じルールで数字を作り続けることが大切です。
月次決算の精度は会社の成長に合わせて高める
創業直後から、大企業と同じような月次決算の仕組みを作る必要はありません。
事業規模が小さく、取引件数も少ない段階では、シンプルな仕組みでも十分に会社の状態を把握できます。
しかし、会社が成長すると、
- 売上の種類が増える
- 従業員が増える
- 取引件数が増える
- 複数月にまたがる取引が増える
- 経営管理に必要な数字が増える
といった変化が起こります。
その段階になれば、月次決算に求める精度や管理項目も高めていけばよいでしょう。
創業時から完成形を目指すのではなく、その時点の経営判断に必要なレベルから始め、会社の成長に合わせて仕組みを育てていく。
創業期のバックオフィス全体に共通する考え方です。