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KNOWLEDGE / 02-08

月次決算を早期化する「情報の流れ」の作り方

前の記事では、月次決算では正確さだけを追求するのではなく、経営判断に使えるタイミングで数字を把握することが重要だと説明しました。

では、月次決算を早く完成させるためには、経理担当者が急いで仕訳を入力すればよいのでしょうか。

実際には、月次決算のスピードを左右するのは、会計ソフトへの入力作業そのものよりも、必要な情報が経理へ届くまでの流れです。

売上請求書が営業担当者の手元にある。支払請求書が各担当者のメールボックスに散らばっている。クレジットカードを利用した人から領収書が提出されない。

このような状態では、どれだけ経理担当者が頑張っても月次決算は早くなりません。

会社を設立した段階から、お金の入出金に関する情報が自然に経理へ集まる仕組みを作っておくことが、月次決算を早期化するための基本です。

01

月次決算は「情報が集まる仕組み」から作る

月次決算に必要なのは、会社のお金がどのように動いたのか、そしてこれからどのように動く予定なのかを把握するための情報です。

大きく分けると、

入金に関する情報

  • 売上請求書
  • 銀行口座への入金
  • 前受収益など、以前受け取ったお金のうち当月の売上になるもの

出金に関する情報

  • 支払請求書
  • クレジットカード利用
  • 従業員の立替経費
  • 給与
  • 税金・社会保険料
  • 減価償却費や前払費用など、以前の取引から当月の費用になるもの

があります。

これらを月末になってから経理担当者が探し始めるのではなく、取引が発生した段階から経理へ情報が流れる仕組みを作ります。

月次決算を早くするために必要なのは、経理担当者の処理速度を上げることよりも、経理担当者のところで情報が止まらないよう、その前工程を整えることです。

02

入金情報は「売上請求書」を起点にする

入金に関する情報収集の中心になるのが、売上請求書です。

売上請求書が発行された段階で、

誰に
いくら請求し
何月の売上として計上し
いつ入金される予定なのか

を把握できれば、実際に銀行へ入金される前から売上と入金予定を把握できます。

そのため、請求書を発行した担当者だけが情報を持つのではなく、請求書発行システムと会計ソフトを連携するなど、発行された請求書の情報が経理にも共有される仕組みにしておくと効率的です。

また、営業担当者など経理以外の人が請求書を作成する場合には、単に請求金額だけではなく、いつの売上なのかなど、会計処理に必要な情報も正しく経理へ伝わる仕組みが必要です。

請求書の情報が正しく登録されていれば、銀行口座へ入金されたときには、

「この入金は何だろう?」と調べるのではなく、あらかじめ登録された売掛金と入金を照合する

という作業に変えることができます。

03

出金情報は「一か所に集める」

出金側で特に重要なのが、支払請求書の管理です。

現在は請求書の受け取り方も、

  • 紙で郵送される
  • メールにPDFが添付される
  • Webサイトからダウンロードする

など、さまざまです。

これらが担当者の机、個人のメールボックス、パソコンの中などに散らばっていると、経理担当者は「まだ提出されていない請求書がないか」を確認しなければなりません。

そこで、紙の請求書はPDF化するなど形式をそろえ、支払請求書はすべて一か所の共有フォルダなどへ集約するというルールを作ります。

02-03でも説明したように、

「ここに保存されている請求書が支払対象」

というルールにしておけば、支払業務だけでなく月次決算も進めやすくなります。

請求書が届いた段階で費用と支払予定を把握できるため、実際に銀行からお金が出ていくまで待たなくても、その月の費用を把握できるからです。

04

カード・経費精算も証憑まで経理へ流す

クレジットカードについても、利用明細だけが会計ソフトへ連携されれば十分というわけではありません。

何を購入したのかを確認するための領収書などの証憑も、利用した人から経理へ届く必要があります。

そこで02-04で説明したように、法人カードを利用したら、その場で領収書をカードの利用明細などに紐づける仕組みにします。

従業員の立替経費についても同様です。

支払った人がスマートフォンなどから証憑を登録し、承認された情報が経理へ流れる仕組みにしておけば、月末になってから経理担当者が領収書を集めて回る必要がなくなります。

重要なのは、

お金を使った人
→ 経理担当者

の間に情報の断絶を作らないことです。

05

経理以外の人が協力できるルールにする

月次決算は、経理担当者だけでは完成しません。

売上については営業担当者、支払については各部門の担当者、経費精算については実際にお金を使った従業員など、社内のさまざまな人から情報を集める必要があります。

そこで重要になるのが、経理以外の人でも分かるルールにすることです。

「未払金に該当する証憑を提出してください」

と言われても、会計に詳しくない従業員には分からないかもしれません。

それよりも、

「今月届いた請求書は○日までにこのフォルダへ保存してください」

というように、何をすればよいのか具体的に伝えます。

経理担当者には、会計処理の知識だけでなく、必要な情報を漏れなく集めるために、他の従業員が迷わず行動できる情報収集のルールを作る役割もあります。

06

最後に銀行明細で「答え合わせ」をする

情報収集の仕組みが整うと、銀行口座の入出金明細を見る意味も変わってきます。

例えば前月までに、

これから入ってくるお金=売掛金

これから支払うお金=買掛金・未払金

が正しく登録されていれば、実際に入出金があったときには、それらを銀行明細と照合して消し込んでいくだけになります。

つまり、

過去に登録した入出金予定を消し込む

当月発生した新しい売上・費用を登録する

銀行明細と照合する

というサイクルです。

予定していた入出金と銀行明細が合わなければ、

  • 売掛金がまだ入金されていない
  • 支払うべきものを支払っていない
  • 取引そのものが会計へ登録されていない

といった可能性に気づくことができます。

銀行明細を最初から見て「これは何の入出金だろう」と一件ずつ調べるのではありません。

先に取引の情報を集めて予定を作り、最後に銀行明細で答え合わせをする。

この状態を作ることが、少ない手間で正確な月次決算を行うためのポイントです。

TAX ACCOUNTANT'S ADVICE

税理士からのアドバイス

01

月次決算が遅いときは「経理より前」を見る

月次決算が遅れると、経理担当者の作業方法を改善しようと考えがちです。

しかし、

売上請求書が経理へ届かない

支払請求書が各担当者の手元に残っている

カードの領収書が提出されない

という状態では、経理担当者だけが努力しても解決できません。

月次決算の精度は、経理が受け取る情報の精度に左右されます。そして月次決算のスピードは、その情報が経理へ届くまでのスピードに左右されます。

そのため、月次決算が遅いときには、

「経理担当者がもっと速く処理できないか」ではなく、「経理担当者のところへ情報が来るまでに、どこで止まっているのか」

を確認してみてください。

会社を設立したばかりで取引件数が少ないうちに、

取引が発生する
→ 必要な情報・証憑が経理へ集まる
→ 会計へ登録する
→ 入出金時に消し込む
→ 銀行明細で答え合わせする

という情報の流れを作っておけば、会社が成長して取引件数が増えても対応しやすくなります。

月次決算の早期化は、経理担当者が月末に頑張ることで実現するものではありません。

日常の取引情報が、発生したときから経理へ流れる仕組みを作ること。

これが、早く正確な月次決算を継続するための土台になります。

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