健康保険料
健康保険は、業務外の病気やけが、出産などに備えるための公的医療保険です。
健康保険料は、原則として会社と従業員が折半して負担します。従業員負担分は毎月の給与から控除し、会社負担分と合わせて会社が納付します。
保険料は給与額そのものに直接保険料率を掛けるのではなく、給与額を一定の幅で区分した「標準報酬月額」を基礎として計算します。
そのため、毎月の給与が多少変動しても、健康保険料が毎月変わるわけではありません。
厚生年金保険料
厚生年金保険は、会社員などが加入する公的年金制度です。
老齢年金だけでなく、一定の障害を負った場合の障害厚生年金や、加入者が死亡した場合の遺族厚生年金なども含まれています。
厚生年金保険料も健康保険料と同様、会社と従業員が折半して負担し、標準報酬月額を基礎として計算します。
給与明細では従業員負担分しか見えませんが、会社はこれとほぼ同額を別途負担しています。
介護保険料
介護保険は、介護が必要になった場合に介護サービスを受けるための制度です。
給与から介護保険料が控除されるのは、原則として40歳以上65歳未満の健康保険加入者です。
そのため、従業員が40歳になると、それまでなかった介護保険料の控除が始まります。
介護保険料も、健康保険料と同様に原則として会社と従業員が折半して負担します。
給与計算では、従業員の誕生日によって新たな控除が発生する点にも注意が必要です。
雇用保険料
雇用保険は、失業した場合の基本手当や、育児休業給付などを行うための制度です。
健康保険や厚生年金保険とは計算方法が異なり、原則としてその月に実際に支払われる賃金に雇用保険料率を掛けて計算します。
また、会社と従業員がそれぞれ保険料を負担しますが、健康保険や厚生年金のような折半ではありません。
雇用保険料率は改定されることがあるため、給与計算ソフトなどを利用して適用する料率を適切に更新する必要があります。
労災保険料は給与から控除しない
労災保険は、業務上または通勤によるけが、病気、障害、死亡などに対して給付を行う制度です。
雇用保険と合わせて「労働保険」と呼ばれますが、大きな違いがあります。
労災保険料は全額を会社が負担し、従業員の給与からは控除しません。
したがって、冒頭の図では社会保険(広義)に含まれていますが、給与明細の控除項目として労災保険料が表示されることはありません。
源泉所得税
会社は給与を支払う際、従業員が負担する所得税をあらかじめ給与から差し引き、本人に代わって国へ納付します。
これが源泉徴収です。
給与から控除する源泉所得税は、単純に給与額へ一定の税率を掛けて計算するものではありません。
社会保険料等を控除した後の給与額や扶養親族等の人数などをもとに、原則として国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求めます。
そして、1年間に給与から源泉徴収した所得税と、その従業員が本来負担すべき年間の所得税との差額を精算するのが年末調整です。
個人住民税
個人住民税は、前年の所得をもとに計算される地方税です。
会社員の場合には、原則として会社が毎月の給与から住民税を控除し、従業員に代わって市区町村へ納付します。これを「特別徴収」といいます。
所得税との大きな違いは、会社が毎月の給与から税額を計算するわけではないことです。
市区町村から会社へ通知された税額を、通常は6月から翌年5月までの12回に分けて給与から控除します。
そのため、毎年6月は住民税の控除額が切り替わる時期になります。
法定控除以外の控除もある
給与から控除されるものが、すべて法定控除というわけではありません。
会社によっては、
社宅家賃
財形貯蓄
社内貸付金の返済
親睦会費
などを給与から控除することがあります。
ただし、賃金は原則として全額を従業員へ支払わなければならないため、会社が任意に給与から何でも差し引けるわけではありません。
法定控除以外のものを給与から控除する場合には、労使協定など所定の手続きが必要になります。
給与計算では、「差し引く金額が合っているか」だけでなく、そもそも給与から控除してよい項目なのかという点にも注意が必要です。