「預かった税」と「支払った税」を正しく判定する
消費税を計算するうえでは、何が消費税の対象となり、何が対象外となるのかを正しく判定する必要があります。
例えば、国内での商品販売やサービス提供による売上のほか、社用車や備品などの固定資産を売却した場合も、原則として課税売上に該当します。
一方で、同じ売上でも取扱いは一律ではありません。
輸出売上は「免税」、住宅の貸付けによる家賃収入は「非課税」、事務所の家賃収入は「課税」となるなど、取引の内容によって消費税の取扱いが異なります。
支出についても同様です。
商品の仕入れ、経費の支払い、固定資産の購入などは、原則として課税仕入れとなります。
しかし、給与や法定福利費、税金の支払いなどは課税仕入れには含まれません。
したがって、
「支出が多いから、消費税の納税額も少なくなるはず」
とは限りません。
設立時の「免税」か「課税」かの選択
会社設立時には、消費税を納める義務がある「課税事業者」になるのか、納税義務が免除される「免税事業者」になるのかが重要なポイントになります。
免税事業者であれば消費税の納税義務はありませんが、仕入れや設備投資などで多額の消費税を支払っていても、消費税の還付を受けることはできません。
また、免税事業者のままではインボイス発行事業者として登録できないため、取引先との関係も考慮する必要があります。
一方、課税事業者となれば消費税の申告・納付が必要になりますが、一定の場合には、支払った消費税の還付を受けることができます。
特に創業時に大きな設備投資を予定している会社では、免税事業者のままにすることが必ずしも有利とは限りません。
事業計画や取引先、初期投資の規模を踏まえて判断することが重要です。
「簡易課税」と「本則課税」の違い
課税事業者が消費税を計算する方法には、主に「簡易課税」と「本則課税」があります。
簡易課税は、実際に支払った消費税を一つひとつ集計するのではなく、課税売上高に業種ごとに定められた「みなし仕入率」を適用して納付税額を計算する方法です。
前々期の課税売上高が5,000万円以下などの要件があり、実際の経費率が低い会社では有利になる場合があります。
一方、本則課税では、原則として、
預かった消費税 - 支払った消費税 = 納付税額
として計算します。
初期投資が大きい場合や経費率が高い場合には、本則課税によって消費税の還付を受けられるケースがあります。
どちらが有利かは、売上高だけでなく、業種や経費の内容、設備投資の予定などによって変わります。
消費税の納税資金を確保しておく
消費税で特に注意したいのが納税資金です。
会社が赤字であっても、消費税の納税額が多額になることは珍しくありません。
日々の会計処理を税抜経理で行っている場合には、貸借対照表(B/S)の「仮受消費税」と「仮払消費税」を確認することで、納税見込額を概算することができます。
また、売上とともに受け取った消費税は、会社の利益ではありません。
納税時に資金が不足しないよう、必要に応じて別口座で管理するなど、納税資金を分別して確保しておくことも有効です。
申告期限の延長と中間納付にも注意する
消費税も法人税と同様、一定の手続きを行うことで申告期限を1か月延長することができます。
法人税の申告期限を延長する会社では、申告スケジュールを揃えるため、消費税についてもあわせて延長を検討するとよいでしょう。
また、前期の消費税の納税額に応じて、翌期には中間納付が発生します。
その回数は納税額によって異なり、年1回、年3回、または年11回となる場合があります。
納税額が大きくなるほど納付回数も増えるため、法人税等と同様に、年間の資金繰り予定に組み込んで管理する必要があります。