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KNOWLEDGE / 05-01

利益が出ているのに会社のお金がなくなる理由

会社を経営するうえで、利益と同じくらい重要なのが資金繰りです。

決算書では利益が出ているのに、預金残高はほとんど残っていない。反対に、赤字なのに預金残高は増えている。このようなことは珍しくありません。

なぜなら、「利益」と「現金」は別のものだからです。

利益は、一定期間の売上から、その売上を得るために必要となった費用を差し引いて計算します。一方、現金は実際の入金と出金によって増減します。

この違いを理解することが、資金繰りを考える第一歩です。

01

売上が増えても、すぐに現金が増えるとは限らない

商品を販売したり、サービスを提供したりすれば、その時点で売上として計上されることがあります。しかし、代金が後払いであれば、売上を計上した時点ではまだ現金は入ってきません。

例えば、3月に100万円のサービスを提供し、代金が4月末に入金されるとします。3月には100万円の売上が計上されますが、実際に100万円が入金されるのは4月です。

売上が計上される時期 ≠ 現金が入ってくる時期というズレが生じます。

売上が増えて利益が出ていても、入金までの期間が長ければ、その間の給与や家賃、仕入代金などを別の資金で支払わなければなりません。

特に売上が急速に増えている会社では、利益が増えているにもかかわらず、資金繰りが苦しくなることがあります。

02

商品を仕入れれば、売れる前に現金が出ていく

売上とは反対に、現金の支払いが費用より先になることもあります。代表的なのが商品の仕入れです。

例えば、将来販売するための商品を100万円で仕入れ、その代金を支払ったとします。会社から100万円の現金は出ていきます。

しかし、仕入れた商品が期末時点でまだ売れていなければ、その商品は在庫として会社に残っています。そのため、100万円全額がその時点の費用になるとは限りません。

現金が出ていく時期 ≠ 費用になる時期というズレもあります。

在庫を多く持つ会社では、商品が倉庫に積み上がるのと同時に、現金が在庫へ姿を変えていると考えると分かりやすいでしょう。

03

設備投資は一度に支払っても、一度に費用にならない

設備投資も、利益と現金に大きなズレが生じる代表例です。

例えば、事業で使用する設備を600万円で購入し、代金を一括で支払ったとします。現金はその時点で600万円減ります。

しかし、その設備を何年にもわたって使用するのであれば、原則として購入した年に600万円全額を費用にするわけではありません。固定資産として計上し、使用する期間に応じて減価償却費として費用化していきます。

仮に、その年の減価償却費が100万円であれば、現金の減少 600万円/費用の計上 100万円となり、500万円の差が生じます。

設備投資を行った年に「利益は出ているのに、預金残高が大きく減った」ということが起こるのは、このためです。

04

借入金を返済すると現金は減るが、元本は費用ではない

借入金の返済も、経営者が特に理解しておきたい項目です。

銀行から借りたお金を返済すると、当然、会社の現金は減ります。しかし、借入金の元本返済は費用ではありません。

例えば、毎月50万円を銀行へ返済していて、その内訳が元本45万円、利息5万円だったとします。会社からは50万円の現金が出ていきますが、費用になるのは原則として利息の5万円です。

元本45万円は、借りていたお金を返しているだけなので、損益計算書の費用にはなりません。

したがって、利益が毎月40万円出ていたとしても、借入金の元本を毎月45万円返済していれば、それだけを見ても利益以上の現金が返済に回っていることになります。

「利益が出ているから借入金を返済できる」とは限らないということです。

05

税金の支払いにもタイムラグがある

税金も、利益と現金の動きがずれる要因になります。

例えば法人税は、原則として事業年度が終了した後に、その年度の所得をもとに計算して納付します。つまり、利益を計上した時期と、実際に税金を支払う時期は一致しません。

決算日時点では預金残高が十分にあったとしても、その後に法人税や消費税の納付が控えていれば、その全額を自由に使えるわけではありません。

特に注意したいのが消費税です。取引先から受け取った消費税相当額も、入金時点では会社の預金口座に入ります。そのため預金残高だけを見ると資金に余裕があるように見えますが、後日、納付が必要になります。

将来支払う税金まで含めて資金を考えることが重要です。

06

「黒字倒産」はなぜ起こるのか

会社は、赤字になった瞬間に倒産するわけではありません。反対に、利益が出ている会社でも倒産することがあります。

会社が事業を続けられなくなる直接的な原因は、支払うべきお金を支払えなくなることです。

例えば、売上は計上されているがまだ入金されていない、商品を大量に仕入れて在庫が増えている、設備投資で多額の現金を支払った、借入金の返済が続いている、税金の納付が集中した、といったことが重なれば、損益計算書では利益が出ていても現金が不足することがあります。

これが、いわゆる「黒字倒産」につながる状態です。

したがって、会社を経営するときには「今月はいくら利益が出たか」だけでなく、「これから、いつ、いくら入金され、いつ、いくら支払うのか」を把握しておく必要があります。

07

利益と現金の両方を見る

もちろん、利益を軽視してよいわけではありません。長期的に事業を継続するためには、本業で利益を生み出すことが必要です。

一方で、利益が出ていても、必要なときに現金がなければ会社は支払いを続けられません。

したがって経営では、利益を見ること + 現金の動きを見ることの両方が必要です。

利益は会社が一定期間にどれだけ儲けたかを表し、現金の動きは会社のお金がどこから入り、どこへ出ていったのかを表します。

次の記事では、会社のお金の動きを「営業」「投資」「財務」の3つのキャッシュフローに分けて考えていきます。

TAX ACCOUNTANT'S ADVICE

税理士からのアドバイス

01

預金残高だけを見て「使えるお金」と判断しない

銀行口座に1,000万円あったとしても、その1,000万円をすべて自由に使えるとは限りません。

近いうちに給与、社会保険料、仕入代金、借入金返済、法人税・消費税などの支払いが予定されていれば、その分の資金を残しておく必要があります。

現在の預金残高ではなく、今後の入出金まで含めた「将来の預金残高」を見る習慣をつけることが重要です。

02

売上が急成長しているときほど資金繰りに注意する

資金繰りというと、業績が悪い会社の問題と思われがちですが、むしろ急成長している会社で問題になることがあります。

売上が増える前に、人を採用したり、商品を仕入れたり、広告費を支払ったりする必要があるからです。

売上計画を作るときには、損益計画だけでなく、その売上を実現するために先にいくらの資金が必要になるのかも併せて考える必要があります。

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