売上が増えるほど運転資金も増える
売上を増やすために仕入れも増えるのであれば、売上代金が入金される前に、より多くの仕入代金を支払わなければなりません。
そのため、業績が好調であるにもかかわらず、手元の現金が減っていくことがあります。これは会社が赤字だからではなく、売上の増加に伴って運転資金が増えているためです。
特に、売掛金が多い、在庫を持つ、仕入・外注費の支払いが入金より早い会社では、売上の成長とともに必要な運転資金も大きくなります。
人を採用すると、売上より先に給与が発生する
運転資金が必要になるのは、仕入れがある会社だけではありません。
新たに従業員を採用すれば、成果が売上として現れる前から、給与、社会保険料、採用費、パソコンなどの備品、オフィス関連費用といった支出が発生します。
つまり、人への投資でも支出が先、成果が後になります。
採用計画では、将来の売上だけではなく、売上が増えるまでの人件費を会社が負担できるかも確認する必要があります。
設備投資にはまとまった資金が必要になる
会社が成長すると、機械設備、車両、店舗・事務所設備、システム、土地・建物などへの投資が必要になることがあります。
設備投資の効果は通常何年にもわたって現れますが、購入代金は先に支払わなければなりません。
そのため、設備投資を自己資金だけで行うと、投資後の預金残高が大きく減り、その後の運転資金が不足することがあります。
設備を買えるかどうかだけではなく、設備を購入した後に十分な運転資金が残るかまで確認する必要があります。
必要な資金をすべて自己資金で賄う必要はない
会社の成長に必要な資金を、すべて現在の預金だけで賄わなければならないわけではありません。
代表的な外部調達には、金融機関からの借入れ、株主からの出資があります。創業期の中小企業では、特に金融機関からの借入れが重要な資金調達手段になります。
借入れには利息と将来の元本返済が伴いますが、必要な手元資金を確保しながら投資を行うことができます。
重要なのは、必要な手元資金を確保しながら、無理なく返済できる範囲で資金を調達することです。
運転資金と設備資金は分けて考える
銀行から資金を借りる場合には、その資金を何に使うのかを整理しておくことが重要です。
運転資金は日々の事業を回すために必要な資金、設備資金は機械や車両、店舗設備などを購入するための資金です。
単に「お金が足りないから借りる」のではなく、「何のために、いくら必要で、どのように返済するのか」を明確にすることが資金調達の基本です。
資金調達は資金繰り表から逆算する
資金繰り表は、資金調達を考えるうえでも重要です。
将来の預金残高と設備投資などの資金需要を確認し、設備投資の時期や金額の見直し、利益の積み上げ、銀行借入れなどの選択肢を比較します。
資金調達は、資金が不足した結果として行うものではなく、将来の資金需要から逆算して計画するものと考えるとよいでしょう。
「いくら借りられるか」より「いくら必要か」を先に考える
銀行へ融資を相談すると「いくらまで借りられるのか」が気になるかもしれません。
しかし、会社側で先に考えるべきなのは「いくら必要なのか」です。
まず事業計画と資金繰り表から必要な資金を計算し、そのうえで自己資金をどこまで使い、どの程度を外部から調達するかを考えることが重要です。
成長計画と資金計画はセットで作る
会社の成長計画を考えるときには、売上、利益、人員、設備だけではなく、資金も同時に考える必要があります。
売上を増やすために仕入れや採用、設備投資が必要なら、売上代金が入る前に現金が出ていきます。
会社が成長するときには、多くの場合、利益より先に資金が必要になります。
だからこそ、事業計画 + 損益計画 + 資金計画をセットで考えることが重要です。
資金繰りを管理する目的は、単に会社のお金を減らさないことではありません。必要なときに必要な資金を確保し、会社が取りたい経営判断を実行できる状態を作ることにあります。