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代表税理士 清水裕久の読めばわかるお役立ち情報

#年末調整

【2021年版】年末調整を乗り切るために知っておきたいこと(従業員向け)

年末調整は、月々の給料から天引きされている税金を正しい金額に計算しなおし、納めすぎていた金額がある場合には還付される手続きです。年々難しくなる書式に必要な情報を正しく記入するために、知っておくべきことをまとめました。

なお、最近はPCやスマホで質問に答えていくだけで年末調整を終わらせることができる便利なWebサービスも充実してきています。とはいえ、まだまだ所定の用紙に記入・提出するアナログ対応の会社が多いので、この記事では紙ベースでの年末調整を前提として説明しています。

年末調整を始める前に

税金は収入よりも「所得」が大事

本人の基礎控除の額、配偶者(特別)控除や扶養控除の適用を受けられるかどうかは、いずれも対象者の合計所得金額によって決まってきます。

収入金額ではなく、給与収入に対する給与所得控除など、収入に対する経費を控除したあとの所得金額こそが重要だということをまずは理解しておいてください。

自分の税金を減らすため、家族の「所得」情報が必要

配偶者(特別)控除の適用を受けるためには、配偶者の合計所得金額が133万円以下でなければなりません。また、扶養控除の適用を受けるためには、対象となる親族の合計所得金額が48万円以下でなければなりません。

このように、配偶者(特別)控除や扶養控除によって本人の所得金額を減らすためには、配偶者や扶養親族の所得の金額が必要となります。

収入の種類が給与だけでしたら、年収さえわかれば給与所得控除(55万円~195万円)を引くことで簡単に求められます。ですが、フリーランスで業務委託をしている、副業でネットショップを経営しているなど最近は収入の種類も多様化していますので、そのような場合には所得を把握するのに手間がかかることにご注意ください。

特別な事情や保険の支払いも「所得」を減らす

本人や配偶者、親族が障害を持っている場合、その経済的な負担に配慮して税金を減らす「障害者控除」という制度があります。そのほかにも、本人が寡婦(離婚後に子どもを養っていたり、夫と死別した女性)やひとり親(子どもを養っている未婚の親)、勤労学生に該当する場合など、経済的に不利な状況に配慮して税金を減らす特別な措置があります。

また、生命保険や地震保険、社会保険、iDeCoや小規模企業共済の掛金などを支払った場合にも、その金額を所得から控除する(税金の対象から除く)ことができます。

これらは本人が申告しないと年末調整に反映されませんから、該当するものは忘れずに申告するようにしましょう。

記入する書類は基本3種類

家族の情報や特別な事情を伝える「マル扶(まるふ)」

右上に「扶」と書かれている書類です。

この書類の提出がないと給与から天引きする源泉所得税の見当がつかず、税金の取りっぱぐれを防ぐために多めの金額を天引きされてしまうことになります。

給与の支給を受ける人は、会社に必ず提出するようにしてください(複数社から給与をもらっている場合には、メインの給与支払元に提出)。

正しく書けたら超一流!複雑怪奇な「基・配・所」

右上に「基・配・所」と書かれている書類です。

令和2年分(2020年分)の年末調整から登場しました。1枚の用紙で次の3つの控除額を求めるためとにかく難解ですが、必要最低限の記入で乗り切りましょう

  • 基礎控除
  • 配偶者(特別)控除
  • 所得金額調整控除

支払った保険料を伝えて所得を減らす「マル保(まるほ)」

右上に「保」と書かれている、保険料や共済等の掛金の支払額を申告するための書類です。基本的に保険会社などから送られてくる証明書を見て記入します。

それでは次の項目から、それぞれの書類についてどのエリアを記入する必要があるのかを説明していきます。

書類その1、マル扶(給与所得者の扶養控除等申告書)

この書類は、配偶者や扶養親族の状況を申告し、来年の給与から天引きされる源泉所得税を設定するために提出する書類です。また、障害その他の特別な事情(寡婦、ひとり親、勤労学生)を申告するために提出します。

①:全員が記入

ご自身の住所、氏名、生年月日などの基本的な情報を記入します。マイナンバーも必ず記入してください。なお住所は「来年1月1日時点の住所」を記入しますので、年末までに転居する予定がある人はご注意ください。

②:配偶者(夫や妻)を養う予定のときに記入

配偶者の来年の合計所得金額が95万円以下(給与収入だけなら年収150万円以下)と見込まれる場合に記入します。ただし、ご自身の来年の合計所得金額が900万円を超える見込みの場合には記入する必要はありません。

つまり、次のどれかに該当する人は②のエリアに記入する必要はありません。

  • 独身の人
  • ご自身の来年の合計所得が900万円を超える見込みの人
  • 配偶者の来年の合計所得が95万円を超える見込みの人

③と⑤:親族(子や親など)を養う予定のときに記入

子や親など生計を同じくする親族で、来年の合計所得金額が48万円以下(給与収入だけなら103万円以下)と見込まれる方を記入します。ただし、その親族が来年1月1日時点で16歳未満(誕生日が2017年1月2日以降)のときは、③ではなく⑤のエリアに記入するので注意が必要です。

扶養する予定の親族がいない場合には、③と⑤のエリアに記入する必要はありません。

④:その他特別な事情があるときに記入

ご自身や配偶者、親族が障害をお持ちの場合など、次のどれかに該当する場合に記入します。

  • ご自身が障害者である
  • ご自身が寡婦(離婚後に子どもを養っていたり、夫と死別した女性)である
  • ご自身がひとり親(子どもを養っている未婚の親)である
  • ご自身が勤労学生である
  • 配偶者が障害者である
  • 扶養親族が障害者である

上のいずれも該当しない場合には、④のエリアに記入する必要はありません。

書類その2、基・配・所

この書類は、3つの申告(基礎控除・配偶者(特別)控除・所得金額調整控除)を行うための申告書です。年収や配偶者の有無によって、記入が必要なエリアと無視して良いエリアがあります。記入する必要があるエリアだけを効率的に記入するようにしましょう。

①と②:全員が記入

①に氏名と住所(または居所)を記入します。

②は、ご自身の年収(給与の収入金額)と所得(給与所得と、他にも所得がある場合にはその所得の合計額)を記入します。給与所得の求め方は、裏面の右下にある表に当てはめるとなんとか求めることができます。

③:配偶者(特別)控除を受けるときに記入

③は、配偶者(特別)控除を受ける場合に記入するエリアです。ですので、独身の方や配偶者の合計所得金額が133万円を超える方は記入する必要はありません。さっさと飛ばしましょう。

④:年収850万円超で要件に該当する方のみ記入

④は、年収850万円以下の方は記入する必要ありませんので飛ばしてください。

850万円を超える方が次のどれかに該当する場合は、ここに記入をすることで「所得金額調整控除」という制度の適用を受けることができます。そもそも850万円を超える方は増税があったので、一定の事情がある場合はその増税を緩和するために設けられた措置です。

  • ご自身が特別障害者である
  • 扶養する家族(配偶者含む)に特別障害者がおり、かつその人の所得が48万円以下(給与収入だけなら年収103万円以下)である
  • 23歳未満の扶養する親族(配偶者は除く)がいる

書類その3、マル保(給与所得者の保険料控除申告書)

この書類は、ご自身で支払った保険料などがある場合に、その内容を申告して所得金額を減らすために提出する書類です。給与から天引きされている社会保険以外には保険や共済掛金の支払いは無い、という場合は提出不要ですので飛ばしてください。

①:この書類を提出する人は記入

ご自身で支払っている保険や共済掛金があり、この書類を提出して所得控除を受ける場合には氏名と住所(または居所)を記入します。

②:原則は「保険料控除証明書」などの証明書を見て記入

毎年10月頃になると、加入している生命保険などの会社から「保険料控除証明書」といった名称のハガキや封筒が届くと思いますので、それを見ながら②のエリアに記入していきます。

記入する②のエリアは次の6つに分かれていますので、どこに該当するか正しく判断して記入しましょう。またほとんどの証明書などは提出も必要なので、記入した用紙と証明書をクリップ等でひとまとめにして会社に提出します。

  • 一般の生命保険料(新保険料か旧保険料かを区分)
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料(新保険料か旧保険料かを区分
  • 地震保険料(地震保険料か旧長期損害保険料かを区分)
  • 社会保険料
  • 小規模企業共済等掛金(4つの掛金に分類)

証明書を提出するだけ(記入しない)の方がみんな幸せ?

年に一回しかない慣れない作業で、保険料控除証明書を見ながら適切なエリアに記入するのは大変な負担です。そして、それは不慣れな人が四苦八苦して記入した書類をチェックする方も同じです。

ですので、当社で年末調整を請け負う場合には②のエリアは当社で代わりに記入するので記入不要で、①に氏名・住所だけ記入した用紙と、証明書(証明書の提出が不要なものは金額のメモなど)だけご提出いただくようお願いしています。

住宅ローン控除と年末調整

年末調整での手続きは2年目から

住宅ローンを組んで入居した1年目は確定申告をする必要がありますが、2年目以降は年末調整で手続きをすることができます。提出する申告書はご自身で保管しているはずですので、年末調整の際に忘れずに提出するようにしましょう。

書類その4、住宅借入金等特別控除申告書

正式名は「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と言い、1年目に住宅ローン控除を確定申告したあと、残りの期間分の書類がまとめて送付されてきます。

その年分の書類に必要事項を記入して会社に提出することで、年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。また、住宅ローンを組んだ金融機関から毎年10月頃に「年末残高等証明書」が届きますので、それも添付する必要があります。

万一この住宅借入金等特別控除申告書紛失した場合は、税務署に申請して再発行してもらう必要があります。それにより年末調整に間に合わない場合は、後日確定申告をすることで適用を受けることができます。

おわりに

年末調整は毎年1回しか行わないのでいつまでも慣れず、制度そのものが年々複雑になっていることもあり、業務に関わる全員にとって負担の大きい業務です。

当社ではチェックシートや各種ご案内の充実、継続的な情報収集、作業スケジュールの綿密な打ち合わせを通じて、従業員の皆さまと人事ご担当者様の負担をできるだけ軽くする年末調整業務を提供しています。

年末調整の進め方でお困りの会社様は、ぜひ一度ご相談ください。

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