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#バックオフィス構築

事例紹介 | 支払請求書の処理フロー構築(中小企業向け)

会社が成長して支払うべき請求書が増えてくると、支払い忘れや経理処理の遅れなど様々な問題が発生することがあります。特に、支払い忘れは大事な取引先からの信頼を失いますので、良好な取引関係を維持するためには何としても防がなければなりません。

とはいっても請求書の処理にそこまで手間を掛けられないし、システム導入などもお金がかかる…そんな悩みをお持ちの方は多いと思います。

そこで今回は、私たちが実際にお客様に導入した処理ミスが置きにくく、費用もほとんどかからない支払請求書の社内処理フロー(中小企業向け)についてご紹介したいと思います。

導入前の課題

支払請求書の処理がうまくできていないと、次のような課題があります。

  • 請求書の処理もれが発生し、取引先から支払いを催促される
  • 請求書がなかなか集まらず、いつまでたっても会計処理が締められない
  • 支払い処理が場当たり的で、資金繰りの見通しが立てられない

使用するWebサービス

今回ご紹介する方法では、Google Workspace(旧 G Suite)で提供している次のサービスを使用しています。そのため、すでにGoogle Workspace を使っている会社であれば、追加でかかるのは請求書の受信専用のメールアカウントを追加するための費用だけで済みます。

  • Gmail(請求書の受信専用のメールアドレス)
  • Googleドライブ(工程別フォルダ管理のための共有フォルダ)
  • Googleスプレッドシート(請求書一覧の作成用)

運用するための3つのルール

支払請求書をミスなく効率的に処理するために、基本となるルールが3つあります。それぞれの考え方について説明していきます。

基本ルール①:請求書をすべてPDF化し、ファイル名の設定ルールを決める

請求書を受領するルートは様々です。郵送されてきた紙の請求書、PDFファイルが添付されたメールの受信、案内されたWebサイトで画面に表示される、などなど。そうした複数の受領方法をバラバラに管理すると必ず処理のミスが発生しますので、どのような経路で受領した請求書であっても、必ずPDF化して処理することに統一する必要があります。

その際に、PDFのファイル名についてルールを設けておくことも重要です。一見面倒に感じるかもしれませんが、処理に必要な情報をファイル名に設定することで、後々の処理が大幅に効率化されます。

基本ルール②:工程ごとの共有フォルダで処理状況を明確にする

請求書を受領した後、大まかにいえば「内容確認」「会計ソフトへの入力」「振込み」の3つの工程があります。また、「内容確認」の中には「請求書の受領」「担当者の確認待ち」「確認完了」など、さらに細分化された工程が存在しています。

このように細分化された工程ごとにフォルダを作成しておけば、そこに格納されている請求書がどんな状態なのか、わざわざ説明しなくてもわかります。作業の進捗説明をしなくて済むような工程別でのフォルダ管理も、効率的な処理のために重要です。

基本ルール③:請求書一覧で「内容確認」「会計処理」「振込業務」を連携させる

請求書を受領したら、その内容を請求書一覧に入力するところから始まります。これは一見面倒くさい作業のように見えますが、この一覧表に入力されたデータを上手く活用すれば、「会計処理」「振込業務」のときの入力業務を大幅に削減することができます。

請求内容を確認するためだけでなく、後に続く会計処理や振込業務の手間の削減につながるような請求書一覧を作成できれば、支払請求書の処理全体を通しての効率化につながります。

以上が、支払請求書を効率的に処理するための基本的な3つのルールになります。
次からは、その基本ルールについてより具体的な内容を説明していきます。

具体的な運用方法

受領する請求書を一か所に集めよう

郵送で受領する場合

郵便物を開封してスキャン、Googleドライブへのアップロードまでを一連の日常業務だと考えましょう。緊急性が高くない業務なので、スキャンやアップロードを後回しにすると後々の処理が滞ってしまいがちです。

電子メールで受信する場合

請求関係の受信専用メールアドレスを作り、すべての請求書メールがそこに集まるようにします。

まずは、請求書の送付先メールアドレスとして取引先に周知しましょう。それでもなお自社の担当者宛てに請求書メールが送られてきてしまったら、そのメールを受信専用メールアドレスに転送してもらうよう社内にも通知しておきます。

次に、受信した請求書メールの見落としを防ぐために、次の運用を開始しました。

  • 受信専用のメールアドレスに届いたメールは、Googleドライブへのアップロード担当者に転送されるようにしておきます。
  • 転送されてきたメールには、自動振り分け設定で「1. 請求書未処理」というラベルを付けるようにします。
  • メールに添付されているPDFファイルをGoogleドライブにアップロードしたら、そのメールを「2. 請求書処理済み」ラベルに手動で移動します。

これにより、郵便でもメールでも、受領した請求書がすべてGoogleドライブにアップロードされる流れができました。

PDFのファイル名を効果的に使おう

PDFのファイル名は、現時点での処理(内容確認、会計処理、振込業務)で参照するだけでなく、時間が経ってからでもファイル名から目的の請求書をすぐに見つけられるかということを念頭に置いて設定しています。私たちは、次のファイル名設定ルールを設けました。

  • 内容確認をする前:(仮の支払予定日、数字8桁)_(取引先名)_(内容など、任意).pdf
  • 内容確認をした後:(確定した支払予定日、数字8桁)_(取引先名)_(内容など、任意).pdf

「内容など、任意」としている部分については、ひとつの取引先から複数の請求書を受領する場合などに、それらを区別するためサービス名などを入力したりしています。また、部門別会計を実施している会社の場合は、内容確認のときに部門コードを入力してもらうようにもしています。

余談ですが、電子帳簿保存法の対応の一環として、PDFファイル名を活用する方法が国税庁から案内されています(対応義務化についてはしばらく延期されています)。その国税庁の推奨するルールとは若干異なる部分もありますが、対応が義務化された際に若干のルール変更をすれば対応できますので、現時点では上記のファイル名設定ルールとしています。

共有フォルダの体系を工夫しよう

工程別のフォルダ、そのフォルダに格納されているファイルに対してやるべきこと、その担当者を次のように設定しました。各フォルダでのやるべきことを終えたPDFファイルは順次、次の工程のフォルダに移動させていきます。

このフォルダ分けは、会社の支払いの原則が「請求書の振込みは毎月末に総合振込で行う」であることを前提としています。その原則に基づく請求書を「2. 会計処理、振込業務(総合振込)」で処理し、その原則どおりにいかないもの(突発的な支払いなど)を「3. 会計処理、振込業務(個別振込)」で処理することにしています。

なおPDFファイル名の最初に支払予定日が設定されていれば、「2-2. 支払待ち」「3-1. 支払待ち」フォルダで支払予定日順に請求書ファイルが並んでいるので、支払いもれがないことを確認できます。PDFファイル名と工程別フォルダ管理、その組み合わせで支払いもれを防ぐことを目指しています。

請求書一覧で全体最適を目指そう

請求書一覧のスプレッドシートは、受領した請求書の内容を確認するだけでなく、会計処理と総合振込のcsvデータを効率的に生成するために活用します。現在私たちで使っている請求書一覧のスプレッドシートは、次の項目から成っています。

このなかで入力が必要なのは主に「請求内容パート」と「確認パート」で、それらの情報が算式で組み替えられて「経理パート」が自動的に生成されます。また別途支払先マスタを作成し、総合振込用のCSVデータも追加入力をしないで生成されるようにしています。

取引先名や支払内容、金額など、一度入力した情報はできるだけ使いまわして仕訳や総合振込のデータが生成されるように設計することがポイントです。

まとめ

予算や人員が限られた中小企業でも導入可能な、支払請求書をミスなく処理するための方法をご紹介しました。繰り返しになりますが、ポイントは次のとおりです。

  • すべての請求書をPDFで処理すること
  • 工程別フォルダで、処理の進捗が誰でもわかるようにすること
  • 請求内容の確認だけでなく、仕訳や総合振込のデータ生成を見据えた請求書一覧を作成すること

私自身、事業会社の経理スタッフとして支払い処理にかかる一連の流れ(社内での請求書集めから振込手続き、仕訳入力や月次決算のレビュー、監査法人への資料提供など)を苦労してやってきた経験があります。

そうした経験を基に、会社の負担をできるだけ軽くする処理フローのご相談にも積極的に応じていますので、社内の事務処理フローでお悩みの方は是非お気軽にご相談いただければと思います。

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